誤食によるニコチン中毒致死量

普段意識することはあまりありませんが、タバコに含有されているニコチンは非常に毒性の強い物質です。アルカロイドに属する天然由来の物質で、人間だけではなくほぼすべての生物に対して即効性の非常に高い神経毒性を有します。その毒性は猛毒の代名詞でもある青酸カリすら凌ぐ強さを誇ります。
投与した生物の半数が死に至るとされている半数致死量は、人で体重1kgあたり0.5mg~1.0mgと非常に小さく、体重60kgの人間であればおおよそ40mg~60mgで死に至ることになります。この40mg~60mgという数値はタバコ2本~3本相当と非常に少量です。
日本での誤食によるニコチン中毒死乳幼児や高齢者に多く見られます。高齢者については前述の40mg~60mg程度で半数致死量となりますが、乳幼児については10mg~20mgとタバコ1本分のニコチン摂取で死に至りますので誤食のないように注意が必要です。ただし、タバコをそのまま誤食した場合、胃酸によって酸性状態にあるためニコチンの溶出速度が非常に低く抑えられ、体内への吸収は低速です。そのため、誤食したタバコを吐き出させようとして水などを大量に摂取するような事をしてしまうと、胃酸による酸性状態が維持できなくなってしまうことがあります。そうなると、ニコチンの吸収が加速され、症状の重症化を引き起こしてしまうため、状況に応じて対処法を臨機応変に切り替えることも必要です。水の溶出した後のニコチンは急速に体内へと吸収されるため極めて危険です。
重い症状を示している時は、胃の洗浄を実施し、また活性炭や下剤などを投与してニコチンの体外への排出を加速する処置を取ることもあります。